さちこ 彼女は突如異世界からやってくる。 一人の少女を狙って…。 それは寒い日の夜だった。 僕は不思議な夢を見た。何かに追いかけられる夢を。 雷雨の中、必死に駆ける自分の姿を見下ろしていた。 そしていつしか僕は気を失ってしまった…。 ふと気づくと、僕はベッドの上だった。 外はまだ雨が降っている。 「大丈夫?」 |
ベッドの横には一人の幼い少女がいた。 黒髪をひとつ縛りで束ねている。 僕は大丈夫だよと少女に優しく言った。 その瞬間だった。 少女の背後に黒い影ができた。 そしてその影から白く小さな手が少女へ向かって伸び ていった。 少女の腕をつかむと、影の中へ引きずり込もうと引っ張 り出した。 僕はなぜかはわからないが、赤いお守りを持ってた。 そのお守りを腕にかざし、僕はこう連呼した。 さちこさちこさちこさちこさちこ! |
すると影の中から髪の長い赤い服の少女が一瞬姿を現 し、そしてまた影へ戻っていった。そのまま影は消えてしまった。 どうやら少女のことを狙っているようだ。 しばらく僕たちは、様々なところを渡り歩いた。 すでに空は夕日と夕闇が交わりだしていた。 僕たちはある鳥居の前に来ていた。 道路に面していて、誰でも訪れることができる場所だ。 しかし、鳥居の先は少しいけばすぐにがけなのだ。 その先は何もなく、遠くに見える山が影になり美しい。 |
その少しのスペースに一体の小さな地蔵がいた。 菊の花などが添えてある。 なぜだかは知らないが、僕たちはこの地蔵が さちこと関係があると思っていた。 恐らくさちこの地蔵だと思った。 この地蔵を供養すればこの子をさちこから救える。 そう思った。 しかし 地蔵からさちこが現れたのだ。 |
意表をつかれてしまった僕はただ唖然としてしまった。 少女はもう空高くまで連れ去られてしまった。 僕は必死で赤いお守りをかざし連呼した。 さちこさちこさちこさちこさちこ! しかし、さちこが消える様子はなかった。 少女はそのまま、崖の先の城へ連れて行かれてしまった のだった… 終 |